泥臭いWEBの底から~WEBディレクター覚書~

WEBディレクターというのは何を考えておるのか。その一例。

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(あいかわらず長い)前振り
以前、1年半ほどだが自社でBtoCなwebサービスやコンテンツを提供している大企業で働いていたときのこと。そこでは人の入れ替わりが激しかった。異動、退職、派遣さんが契約終了…理由は様々だ。そうやって「ある担当者が一時的or永久にダウンする」場合、まるでブレードサーバでダウンしたブレードを差し替えるように、担当者を簡単に換装していた(って、この比喩は正しいんだろうか)。

そうせざるを得ないというのもあるし、ほいほい派遣さんを雇える金があったというのもある。けれども、ルーチン業務の引継ぎについてのノウハウに拠る所も大きかったように思う。

基本的にそこの人は「どんな担当者もさほど長居しない」という意識でいた。長くても数年で、別の部署へ移る可能性が高い。なので、部署ごとにあれこれと対応策を持っていた。

仕事内容にもよるけど、web業界に限らず担当者が変わる際に一番難しいのは「ルーチン的な既存業務」の引継ぎだ。これから始まる、あるいは進行中だがサービスインしていない案件については共有すべき情報が少ない(か、まったくない)。しかし、それまで何年ものあいだ続いてきたルーチン的な既存業務は急に業務フローを変えると関係者が混乱するし、前任から後任に必要な情報を伝え損ねると日々の業務がストップしたりミスが発生したりする。

でまあ「引継ぎはちゃんとしましょう」となるのだけれど、たいてい充分な時間がなかったりする。充分な時間があっても、後任が業務を全て覚えて慣れるのを待っていると、数ヶ月かかったりする。それを1週間とかでどうにかする。

私がその企業で見た範囲では、打開策として「徹底したマニュアル化」や「メールのアーカイブ化」「社内イントラ上のFAQ、手引書整備」「代々担当者+現役全関係者のリスト」などがあった。

「社内イントラ~」は部署に関係なく必要な請求関連などのマニュアルや申請書などが整備されていた。

「メールのアーカイブ化」は少しユニークというか身も蓋もない方法で、つまり代々の担当者のメールが全部エクスポートされ、次の担当者のメーラーへインポートされるという方法だ。自分が引き継いだときは何ギガバイトものメールを引き継いだ。自分が担当から外れるときも、同じく何ギガバイトものメールを受け取ってもらった。業務上必要な情報は基本的にメールで流れていたので、不明な点があってもメーラーで過去のメールを探せばたいていは答えが見つかった。

「代々担当者~リスト」があればたとえば、前任が社内にいなくても前々任や前々々任が社内の別部署にいたりするので、その人へ質問に行くと解決することが多いので便利だ。上司に聞くという方法もあるが、上司はたいてい、業務のフローくらいは知っていても詳細を知らない。

「徹底したマニュアル化」は一般的だろうし、有効性も高い。けれど上手くやらないと、作ったものの活用されないとか、ひとり立ちした後任が読み返して理解できずに絶望とか、問題が続発する。
【本題】
自分が居た部署の一つは特に人の入れ替わりが激しく、おまけに「ルーチン的な既存業務」がほとんどだった。直情の上司がキチンとした性格だったこともあり、引継ぎについて極まった手法が追求されていた。大手外食チェーンやコンビニチェーンの比ではないと思うが、参考になれば幸いです。

ステップ01:業務マニュアルを作る
これだけ書くと簡単だが、最低限1業務につき以下をマニュアルセットとして用意。
・関係者と連絡先リスト
・業務の全体フロー
→各ステップごとに、どこの誰がやる作業なのかも明記。
定期的な業務の場合は、作業完了日を起点に「何営業日前か」なども書く。
下記「作業内容マニュアル」や「データ保管場所リスト」のどれと対応しているかも必ず書く。
・フロー中、各ステップの作業内容
→「メーラーを開く」「リネームして保存」など、文字通り1手順ずつ書く。その作業で行う一動作ずつを網羅。ファイルの命名規則なども忘れずに。
パワポでスクリーンショットなどを織り交ぜておくとなおよい。
・関係するデータの全保管場所リスト
・関係者に出すメール文面のテンプレート
※全てのマニュアルは作成(改訂)日と作成者、Ver.を記載

最低でこれだけである。他に、業務によっては
  • 必要なアカウント一覧
  • 必要な申請書一覧
  • 必要なMLと、そこに登録されているアドレス一覧
なども必要になる。ある業務を始めたら、マニュアル化できるものは必ず上記セットを用意する。引継ぎ時にではなく、そのフローが確定したときすぐに。

ステップ02:マニュアルの運用
自分で作ったマニュアルだろうと他人の作ったマニュアルだろうと、作業時はマニュアルを一言一句、遵守する。勝手に柔軟な対応をしない。現行のマニュアルの記載内容が不便だったり、実態に即していなければ「まずマニュアルの改訂」と関係者への周知を行う。条件分岐を増やしたい場合も同様。勝手にマニュアルと違う対応を常態化させない。遵守しないとマニュアルとの乖離が開く一方だし、ミスが発生したときにややこしくなる。

ステップ03:引継ぎ
こうしてマニュアルの作成と遵守の末、自分が担当から外れることになる。いよいよ引継ぎである。引継ぎは以下のようにして行う。
・まず後任と上司をおもむろにミーティングコーナー(とか会議室)に呼ぶ
・人数分コピーしたマニュアルを広げてうつろに笑うか、ため息をつく。
・マニュアルを全て説明する。みっちりと、細かく、一言一句。
→場合によっては全ての説明に数時間×数日かかる。
 マニュアルに記載が漏れている事項はみんなでメモる。
 質疑応答も受け付ける。
・説明が終わったら実際に業務をしてもらいつ、不明点を質問してもらう。
以上で終わりというわけではない。後任が慣れない仕事をマニュアルと首っ引きで対応している間に

・記載漏れしていた部分や誤字脱字、説明時に(予備知識のない人にとって)判りづらいことが判明した部分などを修正

という作業を行うのである。

一方で後任のために必要な各種申請、関係者への紹介、MLへの追加などもしておく。また残された時間の限り、実際に作業を始めた後任に対しては常に「このメールが来たから、このマニュアルのこの作業をやって」ということを事細かに言う。作業時は横から画面を見て、実際にあれこれ指し示しながらマニュアルの内容を説明する。あと「次はマニュアルのこれするから、これを先に準備しておくといいよ」とかも言う。あと、自分が持ってるメールをまるごと受け渡すのもよい。

つまり「お前はオレのママじゃ…ママ、なのか?」と思わせるくらい手厚く面倒を見るのだ。引継ぎ期間内だけだけど。

【効能】
たしかに偏執的すぎるかもしれないけれど、上記をやると、思いつくままに並べても以下のような効果がある。
・自立を促す
→後任に「こんなに面倒見てくれるママがもうじき居なくなる」という危機感が芽生えさせる。
・自己解決能力が養われる
→およそ業務に必要なあらゆることがマニュアルやリスト、過去メールに書かれていれば、まず自分で調べるという態度が養われる。「書いてあるはずだ」という認識は、最初の長大な説明の際に植えつけられている。
・プレッシャーを軽減できる
→何をしたらいいか判らなくなっても、マニュアルに書いてあるはずだと思えるだけで、後任の精神的プレッシャーは軽減される。そうした精神的余裕はミスも減らす効果がある。
・お説教しやすい
→ミスがあった場合、「マニュアルを読めちゃんと」と言うことで「知りません」「聞いてませんでした」という言い訳が防げる。
・質問に答えやすい
→「このマニュアルのここに書いてあるよ」と指し示すだけで解決するケースが増え、お互いに楽。ただ、指し示した後にその内容を何度でも説明しなおしてやることも必要。
とまあ、そんなこんなである。とにかくキモは「お前はオレのママじゃ…ママ、なのか?」と思わせるくらいの気持ちで望むことである。マニュアルの整備も、まだ見ぬ子供への贈り物くらいの気持ちで。

【応用編】
上記のようなことは、客先や別部署へ「ルーチン的な既存業務」を引き取ってもらいたい際にも有効だ。そこまでされて(あるいはされると示されて)引き取り拒否をするには、それなりに理由が必要な気になるじゃないか。
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