泥臭いWEBの底から~WEBディレクター覚書~

WEBディレクターというのは何を考えておるのか。その一例。

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たまにブログなんかで、「労働ではなく成果物の価値で対価をもらいたい」という意見を見かける。その意気軒昂さはなかなか好ましい。

実際、自分がディレクターという立場から見ても、外注分の支払いは労働ではなく成果物の価値で支払うのはいいことかもしれない、という気がしている。というわけで、今回はその「気」がする由縁を探るべく、実際にほとんどの外注をそうするとどうなるか少し考えてみたい。対価の支払いについてなので、金銭的な面を中心に。

・前提
まず、「価値」がそれなりの納得感ある数値として算出できなければ駄目だろう。おそらくそれが最も難しいのだけれど、まあどうにか算出できるとする。ちなみに、価値に基づいて支払額が決まるのだからやはり「経済効果」よろしく「それによって幾ら分の効果があったか?」を価値として算出するとしよう。もう少し細かく言うと「それによって一定の期間に営業利益から固定費など外注費以外の支払いを引いた分の金額に、どれだけの増減が発生したか?」を算出するということだ。

実際には対象期間中に複数の施策を実施したり、偶発的な要因があったりもするのでまともに算出できるとは思えないが、空想の話なので今回は「それも織り込んで算出できる」ということにする。あと、増加分全てを払うわけにもいかないので、増加分の何%を支払うかも決めておく必要がある。

価値を単純に金額換算することに抵抗を覚える人もいるだろうが、「ユーザがとても楽しんでくれた」「サイトに親しみを感じてくれる人が増えた」「利便性が向上した」というだけでは、支払額が「なんとなく」でしか決められない。「なんとなく決めた額だけど」で受け取る側がいいんならまあ、いいけど。それって支払い側の感覚次第なので、大道芸の投げ銭とちょっと近い支払い形態だよな。

・見積り不要になる
 →なんせ実装(や公開)した結果がどれだけの利益増減をもたらしたかで決まるので、事前の見積りは要らない。納品時もお金の話は必要ない。やるまえから「これは200万円の価値があります」「いや、180万くらいじゃない?」とかそういう遣り取りをしたところで決め手に欠けるし、蓋を開けてみるまでは実際の支払額が算出されないから。とはいえ前提にもあるように「どれくらいの期間を測定対象とするか?」「増加分の何%を支払うか?」の部分は合意しておく必要がある。
 さらに1案件に「デザイナーとプログラマー」とか「ライターとイラストレーター」など複数人が起用される場合は、それぞれの貢献度を個別に判定するのか、等分にするのかも決める必要がある。内々にではあれ。
 
・支払いナシも発生する
 →労働の対価としてお金を払うなら、なにか外注するなら必ず相手に何らかの形で支払いが発生する。しかし今回の前提に基づいた場合、増加がゼロ、もしくはマイナスになる場合、「今までと変わらなかった」「やらない方が良かった」ということになるので、支払いが発生しないケースもある。「価値に対して払う」のなら当然「価値がなかった」ということもあるわけだ。誰がどう思っていようと。
 
・受けてもらえないことも
 →「あんまり影響はないんだけどちょっと変えたい」みたいな作業はどれだけクオリティがあろうが増減への影響はたいていが微々たる物だ。となると、支払額も僅かになる。振り込み手数料の方が高いとか。そういうことが目に見えるような作業は受けてもらえなくなるかも。まあ、そういう部分は普通に労働に対して支払うんだろう。
 
・外注費が決して赤字にならない
 →生み出した増減に基づいて支払価格が決まるので、増加分(から外注費に割り当てられた%分)以上の支払いは発生しない。価値を価格に変換するなら、増加分以上の価値は生まれていないわけだから。まあ、外注が100%今回の支払い形態なら、だけど。
 
・月末締めの翌月払いとか無くなる
上記の延長だが、算出する対象期間が実装後1ヶ月間の増加分とかだと、さすがに規模や求めるものによっては申し訳ないことになる。というわけで「どれくらいの期間を測定対象にするか?」を取り決める必要があるわけだ。大規模サイトのシステムだったら数年くらいは測定期間にした方がいいかもしれない。そうなると、当然支払いは数年先になる。

小規模でも測定期間が3ヶ月なら、実装後3ヶ月間を経てさらに翌月末とかの支払いになる。納品から実装までが半年間あったとしたら、支払いは納品から「半年+測定期間+1ヵ月後」とかになる。たとえば09年冬向けのコンテンツで10月30日納品12月1~2月28日公開なら、支払いは納品から5ヵ月後?とかになる。測定期間が公開開始から半ばまででいい、という合意が出来ていればもう少し早くなるだろう。
受注側からすればこの「測定期間」がかなりクセモノだ。どれくらいの期間にするかによって売り上げが違ってきかねないので、安易には決められない。

・外注し放題
 →これまで述べたことに基づくと、100%この形態ならなんせ外注費が赤字になることがないので、野放図に外注し続けられる。まあ、実際にはそうそう際限なく引き受けてもらえはしないだろうけど、発注先を無数に確保していればかなりの数できる。

とまあ、ザッと思いつくところでこんな感じか。もっとも「前提に基づき」なんてもっともらしく書いているが、この前提には幾つかのウソ、というか無理がある。先にサラッと書いたし、みんな気付いていると思うけど。

たとえば広告収入オンリーのサイトでデザインを全面リニューアルして、測定期間の営業利益が落ちたとする。前提に基づけば支払いはゼロ円だが、実際には減少の原因が「景気後退」だとか「広告営業の駄目さ」にあってリニューアルしていなければもっと落ちている場合だってある。そういう時は本当なら「リニューアルしてなかった場合の減額分」と「実際の減額分」の差額を「価値」として支払わなければいけない。

逆に同じ条件で測定期間の営業利益がハンパなくあったとする。支払額はとても大きいが、実際には増加の原因がyahooニュースにリニューアルとは関係ない点で掲載されてアクセス数が爆発したためであって、リニューアル自体は改悪だった、ということもあり得る。さらに「yahooニュース掲載」が主因だったら、測定期間を短期に設定していれば支払いは多いが、1年とかにしているとそんなに多くはならない。

つまりまあ偶然や外的要因など、受注側とは別の要因が一切考慮されてない。「それも織り込んで算出できる」なんて書いてるのにね。いや、織り込んで算出してもやっぱり支払いが発生しないことは起きるだろうし、100%、あるいはほとんどがこの形態なら無闇に外注しても、そのせいで赤字になることはまずないと思うけど。

というわけで、今回の前提だと金銭的には非常に発注元に美味しい形態に見える。それで冒頭のような気がするんだろうか。逆にこれだと受注側にとっては、金銭的には少しも魅力的じゃないよなあ。「労働ではなく成果物の価値で対価をもらいたい」という意見の人は具体的にどうやって価値から支払い価格が算出されるイメージなんだろうか。こうじゃないことは確かだと思うんだが。「具体的に考えたことなんてないんじゃないか?」という思いも頭を過ぎるが、さすがにそれは失礼だよな。そんなはずはない。
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