泥臭いWEBの底から~WEBディレクター覚書~

WEBディレクターというのは何を考えておるのか。その一例。

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このブログではときどき実務に対するハウツー以外の話をしていきたいと思っているのだけれど、そもそもwebディレクションの実務で「基本的なこと」というのはそんなに多くない。一方で少しでも基本を離れると「ケースバイケース」「個別対応で」ということになり、一般化しにくくなる。せいぜい「ケーススタディの集積」くらいか。
というわけで、今のところ「実務に対するハウツー以外の話」のネタがだんだん尽きてきた。

というわけで、今回は「企画」について漫然と書いてみる。

上司を説得できる企画資料の作り方講座

というシリーズがはじまった。「有効な」企画書の作り方を解説するという趣旨のようだ。「はじめに」にて企画書とは

自分が立案したものを表現して、それを人に納得させ、実現させるためのツール

だと定義されている。これはもっともな話で、そもそも企画書作りとはお店を出す際に土地や店舗を準備するようなもので、スタートラインに立つためにすることだ。

だいたい企画というのは立てるよりも実現する方が遥かに難しい。仮に何らかの点で「いい企画」を思いついたとしても、それが「いい」ということを決定権を持つ人々に理解してもらい、場合によってはそのために予算や人員を獲得し、さらには目標とする日限までに実装しなければならない。素晴らしい商売を思いつくよりも、実際にそれを商品化したり販路を確保する方がずっと難しいというのに似ている。こうやって「お店」とか「商品」に例えると言うまでもないくらいに当然のことが、なぜかwebになると失念されているケースをたまに見る。

上記記事でも

最初に知っておいてほしいことは、良い企画とは実現まで至ったもののこと

と書かれている。これも当然のことで、自分では「いい企画かどうか最大条件は実現されること」と表現している。このブログで企画についてあまり書かないのもそのためで、企画を立てること自体はそんなに難しくないし、極論してしまえば重要でもない。難しかったり重要だったりするのは、それを「実現」、しかも「どう実現するか」の方だからだ。これは体系化しにくい。それこそ変数が多いので「こうするといい」というのはない。結果的に「このケースではこうすると上手くいった」くらいしか言いようがない。

その意味で、上記記事があくまで「企画資料の作り方」にマトを絞っているのは誠実でもあり、不誠実でもある。企画資料の作り方はある程度一般化して説明することができるが、たとえば「上司を説得できる企画実現講座」というのは一般化したり説明するのがむずかしい。
不誠実だと思うのは、「企画資料」が必ずしも上司を説得できる要因になるとは限らないからだ。仮に上記記事の基準で「いい企画資料」が作れたとしても、「プレゼンが下手すぎる」「社内的な立場が弱すぎる」「上司とソリが合わない」「上司にそのプロジェクトへの熱意がない」他、さまざまな理由で「説得に失敗」というのは起こるからだ。上司じゃなくてもいいけど。

というわけでタイトルとしては最悪の部類だけれど、実際には上記講座は「それのせいで上司の説得に失敗しない企画資料の作り方講座」と言う方が正しいだろう。まあ、誰もがわかることを得意げに指摘しているだけなわけだが。

企画を考えるのは、実際それほど難しくない。特に「面白い」企画は普段企画を立てたりしない人でも往々にして思いつく。ただ、「種類を問わず面白い」企画だけが求められるケースは、仕事の上では少ない。実際にはもっと別のもの(たとえば会員登録や資料請求、アクティブ率の活性化やブランディングなど)が求められていたり、面白さにしても「どういう面白さか」が限定されている場合が多い。そしてそうした要件を踏まえて有効性のある企画というのは、それなりに立案が難しい。
余談だが、CGMコンテンツが受け手にとっても楽しめるものが多く、「やっぱ素人じゃダメだね」とならない理由はこの辺にもあるんじゃないだろうか。、CGMコンテンツの場合、コンテンツの企画(ネタ)に、普通は特に要件がないから。ちょっと違うだろうか。

「Googleストリートビュー」も、アイデアとしては先に同様のものがあり、具体的なUI部分などの実装面でもそれらに比してズバ抜けてるわけではないので、Googleの企画発想力が凄いというわけではない。ただ、先行者が挫折したりなかなか規模拡大できない理由である資金と手間の部分を乗り越えたという意味で、その技術力や資金力の凄さはある。Googleマップに統合する形になっている点は他よりも使いやすさを大幅に向上させているが、それもGoogleマップを持っているという「地の利」と、あのマップの高性能さという技術力に拠っている。企画力とは違う。まあ、誰も「Googleの企画力は凄い」とか言ってないけどさ。

さて、立ち返って上記記事の第一回について。ここではダメな企画書の例を挙げ、最低限おさえないといけない情報を列挙し、それに基づいて「いい企画書」に改良したものを示している。ちょっと補足するなら、上記記事の例のように1ページにまとめるのがいとは限らない。文字を読むのが面倒だとか、こちらの企画に付き合う意欲が薄いだとか、とにかく時間がないといった上司を相手にする場合は、各要素ごとで1ページにして、全体を「現状分析」「現状まとめ」「課題」「施策」「目標」に分けてもいいかもしれない。また、上記記事の例だと場合によっては施策を「平均ページビュー増加のため」と「直帰率低下のため」の二つに分けたり、それをさらに「施策内容・アクションプラン」ごとに書いてもいい。
また、この企画書を持った上司がさらに別の人のところへ話をしに行く場合が想定されるなら、施策内容やアクションプランについて、もう少し具体的な案を書き加えた方がいいだろう。例えば「新製品に依存されない情報発信」とあるが、その情報発信として何をやるかの案など。

そう考えると、「企画資料」と書いて「企画書」と書かなかったことにも意味があるのかもしれない。今回の記事で最終的な例として出てくるのは「問題解決のためにこういった感じの企画をやりましょう」という提案資料であって、「問題に対してこの企画をやりましょう」という、いわゆる企画書ではないからだ。

今回記事の提案書が通って初めて、「じゃあ、各アクションプランに沿って、具体的に何をやるか?」という企画書が必要になるはずだから。確かに、そもそも「企画を何かやりましょう」ということを企画するところからスタートすることが必要な状況はあるし、「企画する」ことと「企画することを企画する」こととは分けて考えた方が理に適ってる気もする。いや、深読みしすぎか。連載全体の目次ページでは特に「企画書」と「企画提案書」を分けているようにも見えないし。

にしても興味深いのは、深く考えてのことか知らないが、この連載目次ページの部分で

企画魂に燃える若手Web担当者に贈る

と書かれている点だ。
内容が基本的なことで初心者を念頭においているからだろうけれど、経験的にみて(年齢はともかく)若手Web担当者の方が、企画することやそれを通すことに対する熱心さを持った人が多いように感じる。逆に若手でなくなってくるとそれより通った後のことやリリース後のことに対する熱意や関心の比重が大きくなってくる気がする。まあ、webに限らないかもしれないけど。

ちなみに、上記は「自社が運営主体のサイトを担当している人」「受託だが、企画提案などもすることになっている人」を念頭においている。何をやるかクライアント側で決めている受託案件が主な人や会社では、そもそも上記記事のような企画書や企画資料を書く局面はほとんどない。

ともあれ、こうした「企画書の書き方」的な企画は、それ自体はよい企画だ。ダメな企画だったらこうまで何度も似たような企画が様々な媒体で出てくるはずもないし。ただ、これは「出発地点としては」よい企画というだけであって、実際に掲載される内容や見せ方によって「着地点がダメだった企画」へと変貌する可能性がある。今後も有用な情報を掲載して、連載を通して全体として「よい企画」になるといいなあ。
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