泥臭いWEBの底から~WEBディレクター覚書~

WEBディレクターというのは何を考えておるのか。その一例。

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どちらも「そういえばそんなんあったなあ」くらいにしか知らないのだけれど、この件について江島健太郎という代表らしき人が記事を書いていた。
LingrとRejawサービス終了のお知らせ
なんか

事業が失敗したときの当事者からの本音というのはなかなかタイムリーには出てこないので、少しでも誰かの役に立てばいいなと思って書くことにしました。

ということらしい。

で、読んでみたのだけれど、結局のところ失敗した理由としては「人件費が高かった」ということらしい。ピーク時にはフルタイムで4名が働いており、最大で年間5000万円のほど人件費だったとか。一人頭1250万か。月で100万ちょい。アメリカでは(IT系だと思うけれど)人材に払う相場が日本の倍くらいあるらしい。けれど、江島さんが紹介している「他三名」の経歴を見るとなかなかのキャリアと実力を持っている、まあスタープレイヤー的な人のようなので、アメリカでの相場以前にメンバーの経歴や実力に見合った額がそもそも高かったようだ。乱暴な計算だと、日本では月50万円くらいの人材というイメージだろうか。

このサービスを展開していたのが、インフォテリアの100%子会社として操業を開始した米国法人のインフォテリアUSAだそうだが、これも同時に解散となるらしい。元々このインフォテリアUSAは親会社の主力商品「ASTERIA」を米国で販売するために設立された会社らしい。で、それが苦戦してLingrとRejawに乗り出したという大まかな経緯になっている。

とまあ、これを踏まえた上で、首をかしげたところなど。

・4人を賄えないサービスってビジネスとしてどうよ?
いくら人件費が高いとはいえ、もっと大勢の人間が働いて人件費がもっと掛かっているのに継続できるサービスだってあるわけで、いくら人数のわりに人件費が高いからって4人を賄えないんなら、そもそも商売でやる企画として筋が悪かったんじゃないだろうか?あるいは、投入後の運用(非システム的な面で)がダメだったんじゃなかろうか。
営業譲渡などでサービスを存続させる方法も模索していたのですが、受け入れ先を見つけることができませんでした。
というのも、この点について何か示唆的だ。

・撤退前に人件費を減らせばよかったんじゃ?

一度仲間として受け入れたメンバーを、高いからとか、スピードが遅くなるからといって解雇したり減俸したりするのは非常に難しく、気の滅入ることで、とくに小規模チームでは致命的に尾を引くため、何か大きなきっかけがないとできないことです。

と書いてあったのだけれど、「このままじゃ事業撤退せざるを得ない」ってのは大きな切っ掛けじゃなかったんだろうか。「小規模チームでは致命的に尾を引くため」ってのは理解できるけれど、自分以外に3人だけなんだから、3人全員解雇してもっと人件費の安い人に入れ替えれば引く尾もなかったろうに。

結局、気乗りがしなかったってだけなんじゃないかと邪推してしまうが、江島さんは「少数精鋭」に執着があったようなので、入れ替えるにしてもどうクラスの人材しかありえない、それでは人件費削減にならない、という意識だったのかもしれない。とはいえ、人件費が問題で、親会社に謝罪するくらいなら、人員削減してでも延命を図る方向性はあったんじゃないかと、まあ外から見ている分には思う。いくら社員を切るのがそんな簡単じゃないにしても。オーナー社長じゃあるまいし。まあ、事業失敗が良心の呵責と失職、謝罪だけで済むなら、江島さんほど優秀な人への重石としては不十分だったかもしれない。引責して借金背負わされるふうでもないし、次の勤め口くらい見付かるだろうし。

・少数精鋭について
確かに紹介されているメンバーを見ると、webサービスを作るに当たっては相当な精鋭のようだ。がまあ、結果から見るとビジネスから収益を上げて、事業を継続するという点では精鋭とは言いがたかったようだ。これは人件費に計上されず、言及すらされていない営業スタッフ(アメリカなので肩書きは違うかもしれないが)の担当だったのかもしれない。とはいえ、本当に営業スタッフがいたのかは不明だ。居たのに上記記事で全く触れておらず、その程度の扱いだったのなら、今回のような結末になったのもむべなるかなとは思う。

4人というのはやはり大所帯だったということです。

という一文があって、これは半分だけうなずける。ユーザではないしバックエンドがどうなってるのかも知らないが、もし受託案件なら立ち上がりは多くても「ディレクター+デザイナー+プログラマ」の3名、立ち上がり後は「ディレクター+プログラマ」の2名くらいで回していく気がする。こういう「場を提供する」だけのサービスなら。デザイナーかプログラマがディレクションを兼ねるなら、最初から2名で回すだろう。そういう意味で4人は多い気もする。江島さんも

今のLingrやRejawのようなプロダクトなら、1人か、多くても2人ぐらいで作れるべきであった、と思います。

と書いているし。

一方で、江島さんが少数精鋭にしたかった理由として

製品を熟知し、能力も意識も高いメンバーが縦横無尽に協力しながら、非技術要員に対するコミュニケーションのオーバーヘッドをゼロにしつつガンガン進めていく、というものでした。

とある。しかし、実際には

専門分野の違う優秀な人たちが協力して作り上げることで確かにクオリティは高くなるのですが、開発時の意見のぶつかり合いによるストレスは格段に増え、あるいは専門による分業を明確にして衝突を避けようとするとその隙間でとんでもない見落としがあったりして、どうしてもスピードが落ちます。

ということで、狙っていた要素のうち「質」は確保できても「スピード」は確保できなかったことが伺える。
よく判らないが、ひょっとして4人の合意で物事を進めていく形になっていて、最終的な意思決定権を持つマネージャが決済するという仕組みが無かったのかもしれない。どのみち自分+3人のチームがまとめ切れないというのはやや問題があるようにも思うが、江島さんが自分でまとめきれない人を集めてしまったのかな、とも思う。各メンバー紹介を見るにつけ。「集まったメンバーはぼく自身が裏方に回らざるをえない、すごい人たちでした。」ともあるし。


最後に、最も首をかしげた点を。

記事の後半で江島さんは

「少数精鋭」を突き詰めると、究極的には1人になるということでしょう。

「企業の競争相手が個人になる時代は目の前まで来ている」

という認識を持つに至ったそうなのですが、上記記事のもっと手前で

なお目下の興味はiPhoneアプリ開発ですので、もし拾ってやるぞという方がおられましたら是非お声がけください。

と書いている。

「もし拾ってやるぞという方がおられましたら~」の対象は誰なんだろうか。「4人というのはやはり大所帯だった」「「少数精鋭」を突き詰めると、究極的には1人」「企業の競争相手が個人になる」とまで書いているのですから、3人以上の社員からなる組織や企業ではないでしょう。ましてや大きな企業であればニ念無く断るはず。
いくら自分の案件が3人以下で回るとはいえ、会社組織ならどうしても直接・間接的にもっと多くの人が関わってくるだろうし、「会社から給料も予算ももらうしリソースも使わせてもらうけど、口出しはせずほうっておいてくれ」なんて都合のいいことは思わないでしょう。
「目下の興味はiPhoneアプリ開発」なら、「是非お声がけください」とか言ってないで自分で勝手に作ればどうかと思う。

思うに、江島さんは今回のことでご本人が意識されている以上に大きな精神的なダメージを受けているのではないだろうか。でなければ、おそらく頭もよく優秀だろう江島さんがこんな眠たいことホザくはずはないと思う。余計なお世話だろうけれど、一日も早くこのダメージから立ち直り、未来に向けて勇躍邁進されることを願っています。
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