泥臭いWEBの底から~WEBディレクター覚書~

WEBディレクターというのは何を考えておるのか。その一例。

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404 Blog Not Found
「Web制作 - 高いか安いか、ではない」


という記事を読んで、なんだかなあ、と思ったので。

話の発端はこれ
Web担当者Forum
「○○円ならどこまでできる!? ウェブサイト制作の相場早見表」


様々な価格帯でどれくらいのことが出来るか?という相場を示すという大胆な記事。この記事自体については方々で言及されていて、自分としては「実際の案件は変数が多いからアテにならんなあ」くらいに思っていたんだけど、まあこういう記事が出てくることに驚いたのは驚いた。

で、「Web制作 - 高いか安いか、ではない」という記事。
この記事ではWeb担当者Forumの記事について、高い安いもあるし、筆者自身は「安い」という見方に理解を示しつつ、こう書いている。

しかし「安い」だけだと片手落ちだとも思う。

なぜなら、Web制作を外注するということは、金を払ってWebサイトを買うこと、ではないからだ。そういう考えだと、どちらもうまく行かない。これはWeb制作に限らず、「収益を上げる機構」を作る場合全てに言える。

発注側は、リスクとリターンを追う。

制作側は、リスクとリターンを渡す。

これが、本当の姿。

「Web屋の相場」議論からは、このリスクという観点が抜け落ちている。

なので、

制作側は「納品物したサイトがいくらの収益をもたらすか?というリスクはない」。一方でクライアント側は「買い取ったサイトがいくら収益をもたらすか?というリスクを負う」という関係だという。

まあ、これは当然の話で、たとえばディズニーランドを施工した会社は、ディズニーランドの来場者が何人だろうと、どれくらいの収益を上げようと、施工代さえもらえれば問題ない。一方で、オリエンタルランドは来場者が少なかったり収益が少なかった場合、深刻なダメージを受ける。

Web担当者Foruの上記記事では、こういった視点がないよね、という。
そうなんだけど、だからなに?と思った。自分の理解力がないせいかも。

それはさておき、404 Blog Not Foundは本題だかわからないけれど、「こうした関係を変える方法として、プロフィットシェアがお勧め」という話に変わる。
プロフィットシェアというのは利益配分型の報酬方法で、売り上げをあらかじめ定めた割合で分配する。これなら、制作側も納品物の売り上げに応じて儲けが変動するので、買い切り型でもらえるはずだった額を下回るリスクがあるものの、大きな収益が上がれば買い切り型でもらえた額以上の収益が生まれる。

今後は、数十万円オーダーの仕事ならとにかく、数百万オーダー以上の仕事は、「いくらにするか」という視点だけではなく「リスクとリターンをどう折半するか」という知恵までないと取れなくなっていくはずだ。

だそうで、たいやきくんの支払いを買い切り型にした子門真人が、曲の大ヒットの恩恵にあずかれなかった古事を引いて結んでいる。

さてさて、プロフィットシェアを勧めているあたりが、自分としては「チャンチャラおかしい」部分。

そもそも、プロフィットシェアをするには、クライアントへ納めたサイトに対して、その後も制作会社が貢献をしなければならない。利益配分のパーセンテージにもよるけれど、テキストの差し替えとか、定期更新作業とか、ちょっとした記事を増やしたり画像を作り変えたり程度の貢献度では納得してもらえないだろう。

もっと親密にクライアントのサイトを分析し、提案し、そのうえで実装しなければならない。で、個人でも会社でもいいけど、現状のたいていのweb制作会社にそんなマンパワーとか時間があるとでも?というか、そういうリスクを負ってでも引き受ける価値のある可能性のある案件の引き合いが来るとでも?

それに個人であれ企業であれ、web制作会社はあまり資本体力がない。数百万くらいであれ地道に手堅く稼ぐことを念頭におかないと、すぐ倒れるんじゃなかろうか。そうなると会社の場合は社員が失職してしまう。

ただし、プロフィットシェアそのものに反対する気はない。たとえば200万の見積りに対して、納品時の支払いを150万にする代わりに、プロフィットシェアでオープン後に支払いをしてもらう、とか。その場合、マンパワーや時間があればパーセンテージを高めにして、制作会社側もコストを投入すればいい。そういったものがあまりなければ、パーセンテージを低めにして更新作業的な部分を引き受ける。
支払いを全額プロフィットシェアにするのも、人や時間が投入できるような環境ならすればいい。出来るところは限られるだろうけど。

それと今後、「数百万オーダー以上の仕事を制作会社がリスクを負わないとなかなか取れない」という流れになるかどうかはわからない。そうなるかもしれないけれど、そんなリスクまで負うことを求められて引き受ける、というか引き受けられる個人なり制作会社なりがどの程度あるのか。「弊社社員は貴社の社員じゃありませんので」

あと、

(プロフィットシェアの)やり方の一つとして、そのWebを運営する会社を作って、制作側は初期費用分の一部または全部をその会社に出資するというものがある。

だそうで、そういうことほいほい出来るようなクライアントや制作会社がどれだけ一般的だと思ってんだろう、この人。

いやまあね、感情的になりすぎているし言い掛かりみたいな部分が多いことは自分でも認める。404 Blog Not Foundの人から「なに言ってんだコイツ」とか思われても仕方ない。わかってるけど、机上の空論にしてもこれはちょっとヒドいと思った。

それと、散々書いておいてアレだけれど、「Web制作 - 高いか安いか、ではない」という指摘そのものはそのとおりだと思う。

※404 Blog Not Foundの記事もそうだろうけど、基本的に上記は直接利益を上げるサイトの場合に限った話だよね。

【追記】
あっという間にちょっと落ち着いたので、なんであんなにムッとしたのか考えてみた。ようするに「明日の食うもんもやっとのところなのに、マクロビオティックの素晴らしさや効能、実践方法を説かれた」ような気分になったせいじゃないかと思う。

【追記02】
ひょっとしたらマクロビオティックなんかじゃなくて、私みたいな人間にちゃんとした農作物の生産方法を教えてくれようとしたのかもしれない。だとしたら申し訳ないな。
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public static void main
Webデザイナーももっと表に出てくるべき


F's Garage
受託のWeb屋はもっとアウトプットを増やした方が良い。


上のは「企業の中のWebデザイナーにももっと表に出てきて欲しい」、下のは「小さな規模の制作会社や、フリーのWeb制作者さん」がもっとアウトプットを増やせば素晴らしいのに、という話。
→忙しいんじゃねーの?

というのは半ば冗談。いやしかし、受託でやっている中小のweb制作会社で働く人はたいてい凄く忙しい。人にもよるけれど、昼間にメールが来てて深夜にメールが来てることもまあある。深夜3時に表に出ても、コンビニと吉野家くらいしか行くところないんじゃないか?
これも冗談だけれど、実際に「忙しすぎてそれどころじゃない」という人は少なくない。忙しさを言い訳にしないように…とか言ってるとそうした人々が産科病棟や小児科病棟の医者みたいなことになりそうなので、それは禁句。
一般性はないけれど、実際に同じ職場にいた人で「忙しい人」ってのを思い返してみると、みんな目先の仕事以外でアウトプットがどうこうとかやったら死にそうな人ばかりだった。F's Garageの上記記事コメント欄で「Blogをやってる人も意外と少ない。はてブ見てる人も少ない」というのがあるけれど、これも忙しさが原因な人はわりといると思う。それと、「仕事だからやってるし、嫌いじゃないけど、webが特別好きってわけでもない」くらいな人も多そう。特に会社員の場合は。ヒマだったらツーリング行くとか、職場の人とパチンコの話でもしてたい、とか。

あと、F's Garageの記事では

制作者さんのWeb上のアウトプットが少ないというのはよく感じます。アウトプットと言っても、日記のようなblogではなく自社のブランディングに繋がるコンテンツが足りない、ということです。

・この人は、ものすごく仕事が早い
・この人は、素敵な人で一緒に仕事してみたい
・この人のマークアップはものすごくクオリティが高い。
・この人の作るネットショップは売れる。
・この人はデザインもマークアップも開発もできるのね。
・この人は、環境問題のWebサイトを作らせたら一番だ。

とあるのだけれど、こういう「よさ」って持ってる人、発揮してる人が少ないから価値があるんであって、逆に言うと大多数はそんな打ち出すようなものを持ってない。たぶんわかりやすくなるように上記のような書き方をしているんだろうけど(念のために書くと、上記のようなものを一つでも持っていて、ちゃんと周囲にアピールできてれば、その効果は否定しない。素晴らしいことだと思う)。

それと、public static void mainの記事で

アニメの作画とかだと、「お、この仕事をしたのは~だな」ということがわかる人がいるらしいですが、Webデザインでも見ただけでデザイナーがわかる人が出てくるように、個性を生かせていけたら面白いのではないかと思いました。

これは、わりともう、そうなってる気がする。
最終的なものが「作品」としていちおうは認識されてるアニメよりも、webサイトのデザインは最終的なものが「製品」になるプロダクトデザイナーと比べた方がわかりやすいかも。
プロダクトデザイナーの場合、柳 宗理にしろ(プロダクトデザイナーとはちょっと違うが)佐藤可士和にしろ、クライアントはそのデザイナーの個性が強く明瞭に発揮されることを期待して依頼していると思う。一方で、担当デザイナーの個性が強く発揮されることを期待せずに依頼している場合もある。そんなのは邪魔だと思っている場合も。
webデザインも同様で、クライアントがその人の個性を期待して依頼している場合と、期待せずに依頼している場合とがある。期待されずともデザイナーは何がしかの個性を発揮してるのだけれど。

で、webデザインの場合はプロダクトデザインに比べて有名なデザイナーが(国内では)とても少ない。少ないだけで、やっぱりその人らしさを期待して依頼されるデザイナーというのはいる。ミクロなレベルでも「この案件、前の担当と同じデザイナーがいいなあ」というのは、ちょいちょいある(これはこれで素晴らしい流れだ)。ただ、そういうケースが関係者以外の目に触れる機会はまずない。その意味で、関係者以外にも知られるような有名なwebデザイナー、その人らしさを求めて依頼されるようなデザイナーがもっと増えたらい面白いだろうな、とは思う。

ニコニコ動画のデザイナーなんかがもっと知られればいいのに、という点はpublic static void mainで書かれていることに同意したいけど、あれはデザイナー本人がシャイなのかも。
相変わらず溜まりに溜まったフィードをボチボチ読んでいると、「あらたにす」のオープン後に厳しい内容の記事がいくつか挙がっていた。まあ、「全然わかってない」「あんなのはダメだ」「今後良くなるといいね」という内容で、まあもっともな話なんだけれど、みんな制作会社(の担当したチーム)のことをあたかもそんなもの存在しないかのようにスルーしているので、取り上げてみたい。

といっても、どこが実際に制作を担当したか私は知らない。ちょっと調べただけではわからなかった。明後日の方向を調べていたのかもしれないけど。

さて、ナショナルクライアントと言うのか、大企業や大手マスコミというのは意思決定が遅い。現場担当者の意思決定が早くとも裁量が少ないので、たいていは上位承認を得るために裁量構造の上の上まで何ステップも踏まなければいけない。各段階の人々の意思決定が早くても、数が多いので遅延しがちだ。それに、こうした企業は「社会的影響」とやらが多く守るべきものも多いので、考慮すべき点も多い。

というわけで、大きな企業がクライアントだと何につけ時間が掛かる。特に「あらたにす」みたいに天辺の方のおエライさんが記者会見やっちゃうような大きな話だと、クライアント企業側の関係者が闇雲に多く、物事は一進一退で後退していく。

「あらたにす」の場合はそれが3社。一社でも大変なのに3倍だ。ハッキリしないけれど3社から人が集まって、クライアントチームを作っているんだろう。3社の決定権が同程度ならば、何か一つ決めるにも3社の合意が必要になるし、その合意は「3社とも最終決定件を持つ上の人までさかのぼって承認を得た」ということになる。当然、3社のうち1社だけが反対してすぐに決まらなかった部分だって多いだろうし、現場レベルが全員合意したのに、どこかの上位承認段階でつまずく事だってある。連絡の齟齬で、各社の担当者ごとに違うことをいっている場面だってあっただろう。

右サイドのエリアが妙に空いてて、左エリアが3カラムで余白もなくて文字みっちりで見づらいのも、たぶんもっといい提案で合意を取っていたら間に合わなかったからではないか。現状は酷いレイアウト、デザインだけれど、あれは根本的に変える以外、どうこう注文を付けづらい造りにはなってると思う。なまじ工夫されたデザインやレイアウトだと、その気になればクライアント側であれこれ細かい注文を出しやすい。サイト構造にしても、機能にしても。

RSSの配信だって、制作会社やクライアント側の現場担当者は必要性を理解していたはずだ。ただ、それを実装した場合の影響を評価したり、そもそもRSSとは何であるかを3社分の上位承認者に理解してもらって、導入に合意してもらうのを待っていれば、たぶんリリース日に間に合わなかったんじゃないだろうか。

というわけで、あれは「期日に間に合わせる」ことに専念した結果だと思う。制作会社側で初期に提案したことは3社全員の合意が得られなかったか、合意を得る前に時間切れになったかで、ほとんど盛り込まれなかったんじゃないだろうか。で、途中で「間に合わせる」「合意を得やすい」という方向性に舵を切ったんじゃないか、と。素晴らしいサイトを作れなかったという点から制作チームを「褒めるに値しない」と言うことは簡単だけど、自分が大企業と仕事をさせてもらったわずかな経験から推測すると、ちゃんとリリース日にオープンさせるだけでも、けっこうな手腕と力量が必要だったんじゃないだろうか。

で、憶測だらけだし私に言われても嬉しくもなんともないだろうけれど、そんな膠着状態でどうにかリリース日にサイトをオープンさせた制作チーム、特にその中でもクライアントと直接遣り取りをしていたであろうプロデューサーなりディレクターなりには、「お疲れさまでした」と言いたい。
ようやく少し時間が出来て、溜まりに溜まった未読フィードを消化していると、こんな記事があった。

Web担当者Forum
「はじめてのRFP――発注時に意思疎通をスムーズにする提案依頼書の作り方」

「RFPを作ろう→メリットはこれこれ→RFPの具体例→RFP制作の注意点」という内容。RFPというのは要件定義書のことで、上記記事では

一般的に仕事を依頼する発注側が、依頼先に対してどういう仕事をしてもらいたいかを記載したものである。

と説明している。で、まあそれはそれで結構だし、要件定義をきちんとクライアントがしてくれればスムーズになる部分もある。

で、上記記事では執筆の協力を富士通の方がしていて、事例にそれが活かされている。その中の一点。

1.9 品質要件
・富士通標準ウェブガイドラインに準拠すること
・「JIS X8341-3」の必須要件をすべて満たすこと
・「富士通ウェブ・アクセシビリティ指針」優先度12をすべて満たすこと
・Flashを使用する際は、音声読み上げとキー操作に対応すること

まあ、音声読み上げはいいとしても、それ以外。「富士通標準ウェブガイドライン」や「富士通ウェブ・アクセシビリティ指針」は有用な文書だし、それがwebで公開されているのは素晴らしいことだと思う。思うんだけど、ね。
えっと、上記の品質要件に従うならまずそれらを読んで、さらにJIS X8341-3を理解しなければならない。少なくともディレクターとデザイナーとマークアップエンジニアは。さらに、制作物がその基準に準拠しているかのチェックも欠かせない。何も考えずにやれば準拠しているというなら理想だし、そうでなくてもその辺に配慮するのはいいことだ。まっとうなプロなら既知の情報も多い。ただ、それによる作業工数の増加は意外と深刻だ。

富士通の場合はweb標準に準拠するための要求なのでまだいい。大手企業でweb部門がしっかりしている場合は、さらにサイト共通のデザインやマークアップに関する仕様書があって、それに準拠することを求められたりする。そしてたいてい、この仕様書のボリュームがかなりある。この場合は既知の情報云々では済まされないので、まともに対応しようと思うと…。一度、実際にそういう状況で涙目になったことがある。幸いそのときは関係する箇所がさほど多くないことが判明して事なきを得た。

確かに、規模の大きいサイトがバラバラにならないようにするため、こうした仕様書を構築するのは有効な一手段だ。だから必要なら整備すればいいし、必要なはずなのに整備できていない企業も多い。ただ。ただ、ね。整備した結果が膨大だとね。制作会社の足腰がね、ヨロヨロっとすることもね、あるんだよね。

RFPで何かに準拠することを認めるなら、事前にその中でもどの箇所への準拠が本当に必要か確認して欲しいのだけれど、無理なんだろうなあ。それはそれで大変そうだし、制作の実務知識がないと判断できない部分も多いだろうし。
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