泥臭いWEBの底から~WEBディレクター覚書~

WEBディレクターというのは何を考えておるのか。その一例。

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ときおり、プログラミング系の人が書いているブログで「人月計算」の話が出てくる。見積りを算出するさい、1人の1カ月分の作業コストを1人月とし、それを基準に計算する方法だ。

いくつか読んだ記事では、この人月という計三単位をいかにして超克するか?ということが書かれていた。たとえば、
矢野勉のはてな日記
「プログラマなら人月なんかさっさと超えろ」

とか。
で、自分はサイト制作なのでプログラムが最終納品物ではない業種だけれど、前の職場で見積りに人月計算を導入していたりしたこともあったので、ちょっと「スーツ寄り」の立場から人月について書いてみる(ちなみに、上記ブログの記事の本題とは関係の薄い内容です)。

上記記事に

人月というのは「人月の神話」以来、現場の技術者にとっては「お金の計算にしか使えない単位」なのですが、発注者側に分かりやすいということでいまでも大はやりしています。というか受注者側もまじめにこの単位で計算しています。

という一文がある。webディレクターという、スーツに片足突っ込んだような立場からすると、まさに「発注者側に分かりやすい」という部分において、人月計算は重宝なのだ。だいたい見積もりを立てる際、「クライアントに判りやすい見積り」「クライアントが納得できる根拠に基づいた金額」であった方がいい。それで発注してくれるかはともかく、クライアントが見積りを受け取って「なんでこの額か判らない」「理由が書いてあるけど理解できない」といった見積りは、そりゃまあよろしくない。

特にクライアントの担当者がwebの費用感を持っていない場合、ただでさえ提示された額が適正なのかどうか判らず不安なのだ。なにか理解可能で明快な根拠がなければ納得してもらえない。たとえ発注してくれても、金額について最後までモヤモヤした気持ちが残ってしまうだろう。そこで出てくるのが人月だ。これならwebに暗かろうが経験不足だろうがなんだろうが、算出根拠は理解できる。あとはそれによって算出された額が、予算と折り合うかどうかだ。

もし、人月でなければどうだろうか?算出根拠が少しくらい明確でなくても納得してくれるならいい。あるいはある程度の費用感を持っていて、それに基づいて金額が適正かどうか判断できるならいい。しかしそうでない場合は、なぜその金額なのかがはっきり説明できないといけない。
「最低でもその金額に見合った価値の仕事をします」と言ってみせたところで、担当者は納得してくれるだろうか?特に初取引のクライアントの場合。
その担当者はたとえば決裁権を持った上位承認者に、金額の算出根拠をどう説明できるだろうか?「業者が金額に見合った仕事をすると言っているので」とは言えない。
「ウチはこの作業内容だとこの金額ですから」という説明もあるだろうが、それではお互いに金額交渉の糸口がない。そもそも、「じゃあ、なぜそちらはこの作業がこの金額なのですか?」となれば、やはり個別に根拠を出さざるを得ないだろう。webディレクターとしては見積りを立てる以上、それなりに理由がないといけない。「なんとなくこれくらいでしょ?」というわけにはいかんだろうさすがに。

というわけで、以上が「対外的な」人月のポイントだ。一方で、「対内的な」人月のポイントがある。それ以外の根拠よりも算出しやすい、ということだ。

人月を用いなかった場合、一項目の金額を出すだけでも上記に書いたとおり、何らかの根拠を設定する必要がある。自分もそうだけれど、ある程度の経験を積めば人月じゃなくても見積もりは出せる。ただその場合でも、人月で考えるよりは金額の算出に時間が掛かる。けれどたとえば、初めて見積りを作るようなwebディレクターにとっては、かなり手に負えない。また人月でない方式だと、同じ作業でも見積もる人ごとで金額のばらつきが大きくなりやすい。「同じ会社の同じ部署のはずなのに、AさんとBさんだと同じような作業でも値段が結構違うなあ」ということが起きやすいのだ。これではクライアントに無駄な疑念を抱かせてしまう。こちらもその点を問いただされると、無駄な苦労をすることになる。人月ならば、こうしたばらつきの幅が小さくなる。

こうした事態を避けるため、人月にかかわらず各作業ごとに標準価格を設定するという対処法もある。けれど、よほど手間隙を掛けて価格表を管理しないと、けっきょく個別ケースで役に立たない。

なので、見積りを算出する側にとっても「人月」というのはなかなか判りやすいのである。もし何か見積もり金額を下げるにしても「何人月分」で下げる額を算出する方が管理しやすいし、ブレない。

とまあ、なんやらかやら書いたけれど、ここでは見積り判定の厳しいケースを想定しているので、もっと緩い判定で進んでいくケースもある。
実際には金額交渉などで様々な変数が紛れ込み、最終額はもっと根拠の曖昧な金額になっていたりするし。

「プログラマなら人月なんかさっさと超えろ」という記事について言えば、プログラマが対内的に人月という単位を超えるのは結構なことだと思う。人月で計算しようとすると2人月にも3人月にもなるような、ヤル気と技能のある人が増えれば、そりゃ当然よいことだ。「プログラムなんかしたくない」人たちに埋没して欲しくはない。それで正当な社内評価が受けられれば何よりだ。
まあそういう人が何人いようが、対外的に人月で見積りを出す場合は誰も彼も「1人月」にするけど。

【追記】
この記事ではwebディレクターが見積りを作成するように書いてあるけれど、クライアントに提出するのは営業というのが一般的だろう。そもそも会社によっては見積りを営業が作成したり、プロデューサーが作成したりするところもあるだろう。逆に営業やプロデューサーが作成するときでも、ディレクターが参考意見を尋ねられることもあったりなんだりで、みなさんご存知と思うが、見積もり一つとっても裏ではなかなかに様々な事情やケースがある。
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